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eoe後使徒化+女体化したシンジ(=碇レンorシオン)が別世界にトリップした設定のクロスネタがメインの二次創作サイトです。碇レン最愛で最強。クロス先のキャラとのCPが基本。 現時点で単品で取り扱いがあるのは深淵と鰤とrkrn。深淵と鰤は主人公総受け、rkrnはきり丸中心です。
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一方その頃の一護達の帰宅風景及び、昔は日常茶飯事だった一護大好き二人組みの戦い、とその結果。


・・・何故か落ちがやっぱりレンになってます・・・・・予定ではもう少し一護大好きなコクトーと朱蓮を前面に押し出したかったんですけどね・・・・



まあ前半は予定通り二人のにらみ合いで一護争奪です。
・・・・平和に争わせようとして、凄い別人になってますが・・・・パラレルだから、という魔法の言葉で全部見逃してください・・・・!!本当すみません!

ちょっとギャグっぽく。


 

一方その頃の一護と朔護は、のんびりと懐かしい道を歩いていた。

 


「ってかよ、屋敷って、昔住んでた家で良いのか?」


 


ふと、一護が朔護に問う。今更だが、尸魂界から出て既に二千年は経っている筈だ。あの時は色々と騒がしくてそこまで気が回らなかったが屋敷の所有権など消えてるんじゃないかと思ったのだ。

 


「あ?お前聞いてねぇのか?」


 

聞かれた朔護は怪訝そうに返す。

 


「何をだよ?だって普通二千年も経てば流石に所有者不在で権利なんか消失してんじゃねぇか?」


「ああ、お前あん時寝てたか。家と土地な、奴らにやったっつってたぞ。」


「・・・奴らって、」

 


一護の言葉に納得したように肯いた朔護が、端的に答える。だが、その答えに、一護が足を止めて勢い良く振り返った。

 


「あの馬鹿共しかいねぇだろうが」

「はっ?!」

 


目を見開いて確認しようとする一護に、心底呆れています、と言わんばかりの朔護が答える。一護が驚愕の声を洩らすが、朔護の視線は既に違うほうを向いていた。
そちらには、

 



「ってめぇ!抜け駆けしようったってそうはいかねぇぞ!」


「言いがかりは止せ、コクトー。私はただ手が空いたから出迎えに来ただけだ。それよりも、君こそ頼まれた準備は終えた上で此処に居るんだろうな?」


「たりめぇだろ!家事音痴のてめぇと一緒にすんなよ朱蓮!」


「失礼な!私は料理が少し苦手なだけだ!他の事なら完璧にこなせる!」


「はっ!笑わせんなよ。シーツ一枚洗うのに洗剤一箱ひっくり返して洗い場を泡塗れにしたアホは何処のどいつだ?!」


「古い事を持ち出すのはやめたまえ!あの後、義姉上にきちんと教えていただいて完璧にマスターしたさ!」


「ああ?!誰が誰の義姉だ?!」


「レン殿は一護の姉君なのだから、将来一護と私が結婚すれば私の義姉になるということだろう。」


「ふざけんなってめぇ!一護は俺の嫁だ!」


「ふざけるなとは私の台詞だ!コクトーみたいな外道に一護は渡せん。」


「冷酷非道なのはテメェだろうが!一護は俺のだ!」


「私の一護だ!」

 



・・・・・清清しいほどに頭の螺子が緩んだ会話を展開するアホが二人・・・改め、元地獄の咎人、紆余曲折を経て魂葬され尸魂界にて死神として生きているコクトーと朱蓮が、我先にと一護目指して競歩さながらの速度で歩み寄る姿が。此処が外ならば迷わず全力疾走していたのだろうが、二千年前「円滑に平和な日常生活を送るための約束事」という名目でレンに「教育」された二人は、どれだけ逸る気持ちを抱えていようと屋敷内で走る事は出来なかったらしい。


 

「(おお、流石レンの教育。・・・アイツ、そういうマナーその他には容赦なかったからな・・・・。)」

 

馬鹿二人の暴走を呆れた眼差しで見やった朔護が内心呟く。
普段は滅多な事で怒ったりしないレンだが、「家の中で走らない」とか、「食事中の喧嘩は禁止」とか「挨拶はきちんとする」とかの約束事に関する躾は厳しかった。破っても叱られはしないが、代わりにペナルティが課せられた為従わざるを得なかったのだ。
・・・まあ、精精約束を破った次の食事に嫌いな食べ物がおかず全品に混入されるとか、弁当の中身に男が持つには恥ずかしすぎるような可愛らしいトッピングを施されるとか嫌がらせと紙一重のものだが、精神的な負荷が半端なかった。元咎人で、一護に絆されているとは言え、基本的に他の人間など眼中になかった二人にすら、平穏な生活を送ろうと思うなら本気で守らざるを得ないと思わせる状況を作る辺り、流石だと感心するしかなかった。
 

・・・懐かしい生活のあれこれを思い返して、姉には永遠に勝てない、と改めて認識した朔護の横で、唖然としていた一護が視線を足元に落として肩を震わせている。


ちらりと目前の二人を見やってから、隣の一護を窺った朔護は、そっと一歩下がる。
そして

 



「「一護!!お前はどっちを選ぶ?!」」

 


「恥ずかしい会話大声で吹聴してんじゃねぇぞ!!こんの馬鹿共ーー!!月牙天衝ー!!」

 

 

本来ならば、約二千年ぶりの再会だ。もう少し和やかに挨拶の一つもかわすべきだったろう。だが、コクトーと朱蓮の会話の余りのくだらなさに、一護は我慢しきれず斬魄刀を構える。
そして、いよいよ二人が一護の元にたどり着く、という瞬間、全力で放った月牙天衝が二人の馬鹿共をふっ飛ばす。


 

「・・・・・ああ、まあ、久しぶりだな、お前ら、相変わらずで。」

 


流石の朔護も、乾いた笑いしか出ず、とりあえず、と片手を上げて当たり障りない挨拶を投げた。


 

「ひさしぶりだな!一護!会いたかったぜ!朔護も元気そうだな」


「久しぶりだね一護。君が反逆者の策略とやらに巻き込まれたと聞いた時は心配したが、息災なようで何よりだ。朔護も久しいね」

 


対するコクトーと朱蓮も、一護の全力月牙天衝に吹き飛ばされたにも関わらず、満面の笑みで改めて歩み寄りながら朗らかに挨拶を返している。朔護への言葉が付け足し臭いが、その位は何時もの事だ。これが他の人間相手なら付け足しすらないのだから、遥かにマシな態度とも言える。


 


「・・聞けよ!コクトーも朱蓮も!大体俺は男だ!嫁にはなれねぇよ!それに俺はモノじゃねぇ!!」

 


普通すぎる挨拶を交わしている三人に向かって一護が叫ぶ。だが、言われたほうは気にする事もなく和やかに会話を続ける。

 


「落ち着け、一護。こいつらは何時もこんなだろ。一々気にしてんなよ。」


「ははは、なんだ照れてんのかよ一護。相変わらず可愛いなぁお前。」


「違ぇよコクトーのアホ!」


「ふふ、久しぶりだから緊張してるのかい?心配しなくても君は私が幸せにするよ一護。」


「お前も聞けよ朱蓮!」

 


溜息混じりに一護を宥める朔護の横で、朗らかに笑ったコクトーが一護の頬を撫でながら言えば全力で否定する一護。かと思えば、コクトーの手を素早く振り払って一護の手を握った朱蓮が嫣然と微笑みかける。そして一護も間髪いれず抗議する。


 

「・・・・お前ら、なぁ」

 


再会直後からヒートアップしっぱなしの一護を宥めようと朔護が何事か言いかけるが、三人は止まらない

 


「おい、朱蓮。てめぇ、良い度胸じゃねぇか。俺と一護の再会の挨拶邪魔するなんてよ。」


「は、此方の台詞だコクトー。君こそ単純極まりない脳みそで、少しは場の状況を読んだらどうだね。 私と一護の感動の再会を阻もうなどと、」
 

「・・・・俺と、一護の、会話を先に邪魔したのはてめぇだろうが」


「・・・・私と一護の再会に割り込もうとして準備放り出してきたのは君だろう。」


「だーかーら!聞けってば!」



「「心配するな(しないでくれ)こいつならすぐに黙らせるから」」



「おい、ってば!!」


「・・・諦めろ一護。こうなったらしばらくとまんねぇだろ。落ち着くまでお前も下がってろよ」



「けど、朔護!」


「いいから、此処で割り入って怪我したらただの馬鹿だろ。心配しなくても大丈夫だ」

 



・・・止まらないのは二人だけだった。一護は朔護が強く肩を引き寄せると納得いかない面持ちながら、大人しく門の脇に下がる。そわそわとコクトーと朱蓮の方に視線を戻しているが、再び近づこうとはしなかった。朔護は既に傍観体制で門柱に寄りかかって腕を組んでいる。


 

「あ?やんのか?」


「は、すぐに力に訴えようとする野蛮な所は全く成長していないんだな。」


「いうじゃねぇか、このナルシスト」


「吼えるな独活の大木。」


「なんだ羨ましいのか?もやしだもんなお前」


「・・・図体ばかりでかくて脳みそに栄養が足りていない原始人が何を吼えるやら。」


「・・・はは、ひょろいチビが無理に威嚇してんなよ。子犬の遠吠えか?」


「・・・・・・・・決着を、着けようじゃないか。」


「・・・・・・・・おお、いいぜぇ?そのすかした面、今日こそ地べたに叩きつけてやろうじゃねぇか」


「・・・・・・・・・・・・ふふふふふ」

「・・・・・・・・・・・・ははははは」

 

 

 


表情は笑みのままだが、明らかに空気が違うコクトーと朱蓮がにらみ合う。
そして、不気味な声で笑い合うと、次の瞬間同時に斬魄刀を抜き放った。

 


「瞬き走れ星華」


「降りそそげ香雪」

 

 


解号を唱えると同時、ドッカーン、と爆音が響く。屋敷の結界はびくともしないが、音は漏れただろう。周囲に人家はないが、実は護邸に比較的近い場所であるため音だけでなくぶつかり合う霊圧にも気づかれただろうな、と遠い目で朔護が斬りあうコクトーと朱蓮を眺めた。・・・・勿論レンにも気づかれている筈。

 



「・・・あいつら、本気で馬鹿じゃねぇの。折角レンが席を外してくれたのになぁ」


「え?!」



思わず洩らした朔護に、一護が目を見張って振り返る。

 


「だから、俺たちだけ先に帰されたんだよ。あいつ等がどんだけ一護を待ってたか位わかんだろ?」


「ま、あ。・・・俺も、会えて嬉しくないわけじゃ・・」


「わかってるさ。ありゃあ、あの馬鹿共が悪い。・・・ま、それは置いといて、折角の再会の場に、保護者が居たら邪魔になる、とか気を回したんだろ。なのに、久しぶりすぎて暴走するとか、あいつ等本気で馬鹿過ぎる。これでレンの説教は確実だな。自業自得だが。」


「じゃあ、早くとめねぇと。流石に再会してすぐレンのお説教は、」



肩を竦める朔護の台詞に、俯く一護がぼそぼそと答える。確かに二千年ぶりにコクトーと朱蓮の元気な姿を見れて嬉しいとも思っているのだから。あんまりくだらない喧嘩をするから呆れただけで。朔護もそこだけははっきりと断じる。そしてレンの本意を語りつつ、嘆息する。


 

「無駄だろ。そもそも、この屋敷の結界はレンの術だぞ。音も漏れただろうし。・・すぐにこんな下らん喧嘩は制圧されて終わりだ。」
 



喧嘩には呆れているが、コクトーも朱蓮もレンとの再会一日目にして説教&お仕置きは可哀想だと一護が言いかけるが、朔護がきっぱりと否定した。最初から隠せないとわかっているのだから、関わらないのが一番だと一護を引き止める。

 

 


「死にやがれ朱蓮!」


「今日こそ息の根を止めてくれる!覚悟したまえ、コクトー!」

 

 

 


一護と朔護の会話の間も、本気で殺気を迸らせるコクトーと朱蓮の斬撃と鬼道がぶつかり合う。二人とも既に満身創痍の状態になりながら、庭から屋根の上からと縦横に走り回って攻撃を繰り返す。互いに避けあった鬼道や斬魄刀の斬激が壁に縁側にとぶち当たって、屋敷が半壊していくのを眺めていた一護と朔護。・・・・レンの躾けは厳しいが理不尽な罰は無かった。声を荒げる事も余り無かったし体罰など論外だった。・・・・一つの例外を除いて、だが。遠い目で二人の戦いを見ながら朔護は思い出す。

 

 

 

「はい、そこまで」

 

 

「「なっ?!」」

 

 

 

 

ふっ、と突然戦っていた二人の間に人影が入る。
柔らかな声音で落とされた呟き。だが、加えられた攻撃には欠片の容赦も無かった。

 


「ぐ!」

「かは、」

 


気配無く忍び寄ったレンが、まずコクトーの懐にもぐったかと思うと腹部に肘を叩き込み、痛みに身体を折った隙に勢い良く背負い投げを決め。次に鬼道を放とうとしていた朱蓮に足払いを掛けると倒れこむ勢いを加速させるように踵落としを決めたのだ。


 

「「おお、流石、レン・・・・」」

 


予想通りとはいえ、流石に現場を直接目にすると迫力が違う。
一護も朔護も、呆然と倒れている二人を見比べるしかない。


・・・そう、普段は怒鳴ったり手を上げたりは絶対にしないレンも、実害を伴う喧嘩の仲裁に関しては、時に容赦のない攻撃を交えての武力制圧も行った。


 

「(今回は、一護の休養を邪魔した、ってのが一番の理由だろうな・・・・。)」

 


朔護が内心で呟きながら事態を見守る先で、容赦なく吹っ飛ばされたコクトーと、地に沈められた朱蓮が痛みを堪えながら立ち上がろうとしている。


 


「・・・・・さて、お久しぶりです。コクトーも朱蓮も。とても元気そうで安心いたしました。お二人のお言葉に甘えさせていただいて、こちらに帰らせていただいたのですけど。」

 


そして一人涼しい顔でにこやかに告げるレン。
痛みに呻くコクトーと朱蓮に向かって可愛らしく小首を傾げる。

 



「・・・・・久しぶり、だな。レンの姉御も元気そうで何より・・・・」


「・・・・・お久しぶり、です。レン殿。無事お帰りいただいて、大変嬉しく思います・・」

 



落ち着けば自業自得と理解できるが、若干の恐れを抱くのは仕方がないことだろう。誰が見ても優しげな、と形容するだろう穏やかなレンの笑みを直視できないコクトーと朱蓮。無意識に丁重な言葉遣いになる。


 

「ふふ、どうしたんですか?そんなに緊張して。」


「「いえ、なんでも・・・・」」



ますます笑みが深まるレン。冷や汗が止まらないコクトーと朱蓮は、痛む身体を叱咤してのろのろと歩み寄りながら答える。声が揃ってしまった事に対する苛立ちを感じる余裕もなかった。


 

「ところで、私は、一護と朔護をゆっくり休ませたいから、場所を貸してください、とお願いしたはずなのですけど。」


「勿論、用意は出来てる!三人の私室は元のままだし、布団も敷いてあるから!」


 

不思議そうにレンが言うと、直立不動のコクトーが焦って言い募る。

 


「そうですか。ありがとうございますコクトー。お疲れ様。・・・じゃあ、一護、朔護。二人ともゆっくり寝ていらっしゃい。」

 


コクトーの台詞に肯いたレンが、背後を振り返って一護と朔護に微笑む。

 



「え、と。・・・その、久しぶりなんだから、あんまり、」


「じゃあ、俺たちは寝に行くか!一護、行くぞ!」

 


躊躇いつつもコクトー達を庇おうとした一護を無理矢理遮って、朔護が屋敷の中に入っていく。レンは、笑顔のままだ。・・・怖い。

 



「・・・朱蓮。お願いした食材は、」


「勿論完璧に用意したとも!調理器具の位置も変えてないから、直ぐに使えると思うよ!」


「ありがとうございます朱蓮。お疲れ様。
 ごめんなさいね二人とも。久しぶりに連絡したと思ったら、雑用なんか頼んでしまって」


「いや!大した手間じゃないさ!なあ、コクトー!」

「勿論だ!俺たちは本当に三人が帰ってきてくれて嬉しいんだぜ!」

 


そして朱蓮に顔を向けたレンに、やはり直立不動の朱蓮が青ざめた顔に必死に笑みを浮かべて答えた。必死すぎる声で隣のコクトーに同意まで求める。普段からこの位仲がよければ良いのに、と思いながら、変わらずにこやかなレン。


 

「「・・・・・・・・・」」


にこにこにこ

 


そして落ちる沈黙。

 


「「・・・・・・・・・・・」」


にこにこにこ

 


冷や汗が止まらない二人。にこやかなレン。そして沈黙。

 


「「・・・・・・・・・・・・・・・・」」

 

にこにこにこ



沈黙。にこやかな笑顔。

 


「「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・、っ」」

 


沈黙。笑顔。只管笑顔。

 

 


「「・・・・・・・・・・っ、・・・・、申し訳、ありませんでした!!」」

 


とうとう耐え切れなかった二人が、勢い良く頭を下げる。沈黙。
怖くて下げた頭を上げられない二人。

 


「・・・・・・はぁ。顔を上げて良いですよ」


「「はい・・・・」」

 


深い溜息と共に与えられた許可に、恐る恐るレンを見る二人。レンは、少し俯いて表情が見えない。

 



「あ、の」

「レン、殿?」



そっと、声をかけて見る二人。

 



「あのね。」

「「はい!」」

 


それを遮るようにレンが話し出す。条件反射で背筋を伸ばして声をそろえるコクトーと朱蓮。

 


「・・・・・ふ、ふふふふふ。」


「「レン(殿)?」」

 


小さく肩が揺れているレンを怪訝そうに見る二人。

 


「ふふふふ、あははは!・・・もう、怒ってませんよ。・・・・二人とも、そんなに怖かったですか?」

 


本気で怯えている二人に、耐え切れなかったレンが笑い声を上げる。唖然としていたコクトーと朱蓮がやっと肩の力を抜いた。

 


「は、・・・はは。勘弁してくれよ。レン」


「はぁ・・・・ああ、流石にね」

 


力なく呟く二人には悪いと思いながら、レンは悪戯っぽく笑う。

 


「あら、最初怒っていたのは本当ですよ?だから、喧嘩を乱暴に止めたことは謝りません。」



「ああ、それは俺たちが悪かったからな」


「すまない。一護に会えたのが嬉しくて我を忘れてしまった」

 


片眉を上げて見上げるレンに、苦笑するコクトーと肯く朱蓮。身体は痛むが、この程度は仕方ない。自分たちの争いの所為で、一護と朔護が休めなかったのだから、レンが怒るのは当然だった。


 

「でも、その後も脅かしたのはすみませんでした。」


 

だがレンも、態と怒りを見せ付けて二人を怯えさせたのはやりすぎたと頭を下げる。

 


「気にしてねぇから顔を上げろよ!」


「そうだとも!再会早々斬魄刀まで抜いた私達が悪かったのだから!」

 


謝罪されたコクトーと朱蓮が慌ててレンを制する。
発端は自分たちの暴走であるのだから、多少の悪乗りで脅かされた位でレンに頭を下げさせるなど出来ない。
コクトーたちの至上は一護だが、その家族の二人も大事に思っていないわけではないのだ。何よりもレンに一護の面影を見てしまう二人はレンに対しても強く出られない。
 

外見だけならば朔護と一護の相似性に目が行くべきなのだろうが、性格の違いからか双子である二人に対してはそう感じたりしないのに、どこか一護とレンは似ている部分があるのだ。多分、一護を育てたレンの仕草などが一護に移ったためではないか、と思うが、一護とレンは時々とても似通ったところがある。本来なら反対なのだろうが、一護を一番に見てしまう二人にとっては、レンが一護に似ているように見えるのだ。だからこそ、こんな風にレンが頭を下げたりする姿をみているのはとても居た堪れない気分になる。
慌てるあまり、コクトーが乱暴に肩を掴んで身体を起こさせた。

 



「・・・ありがとうございます。改めて、お久しぶりです二人とも。元気な姿を見ることが出来て、とても嬉しく思います。」

 


慌てるコクトーと朱蓮に、懐かしさを覚えて笑みを深めたレンが、もう一度頭を下げて再会できた喜びを告げる。今度は直ぐに身体を起こして笑いかけたレンに、目前の二人があからさまにほっとしたのを見て更に笑みが深まった。

 


「久しぶりだな。アンタも元気そうで安心したぜ。」


「お久しぶりですレン殿。」

 


改めて二人も挨拶を返す。やっと帰って来たという実感が湧いた。

 


「本当に、・・・お疲れ様、待ちくたびれたでしょう?」


「そりゃあな」


「二千年以上だ。幾ら私達でも、永く感じたさ。でも、会えたから」


「ああ、無事に顔を見れたから、な」

 


レンの言葉に、本当に嬉しそうに答える二人を見ていると安堵と喜びに笑みが深まる。

 


「一護が起きない程度なら、傍に居ても構いませんよ。貴方達なら、一護も警戒せずに休めるでしょうから。」

 


一護を本当に大事に想っているのだと伝わる二人の表情に微笑ましさも感じて、許可を出す。途端にそわそわと寝室の方向を見やる二人の態度には苦笑しか浮かばない。


 

「お、う。・・・・・・でも、止めとく」

「ありがとう。・・・・そうだ、ね。私も、遠慮しておくよ」

 


だが、予想に反して断られてしまった。レンは本気で不思議そうに首を傾げだ。

 


「良いんですか?寝顔だけでも見ていたら・・」


「や、・・・(理性が持たないかも、とか・・・・いえねぇよな・・・)それより、食事作るんだろ?!手伝うぜ!」


「ええ?」


「そ、うだね!・・・(・・自分を過信すべきではないだろうね)・・では、私は荒れた庭を片付けておくよ!」


「でも・・・」



「「気にするな(しないでくれたまえ)!」」

 



もしや久しぶりだからと遠慮しているのかと、再度勧めようとしたレンの言葉を態と遮って手伝いを申し出る二人。色んな面で自分たちより強いレンだが、こういう複雑な恋愛事情に関しては、一護より遥かに幼いレンだ。赤裸々に本心は語れず朗らか過ぎる笑みで誤魔化す。


 

「じゃあ、早速始めようぜ!」



コクトーがレンの背中を押し

 


「では、まず瓦礫をどけて、」



にこやかに周囲を見回した朱蓮が掃除用具を取りに物置に向かう。

 


「でも・・・」



「「良いから!本当に気にすんな(しないでくれ)!!」」



「はい・・・じゃあ、お言葉に甘えて、」

 

 

 

 

怪訝な表情ではあるが、二人が言うならば、と台所に足を向けようとしたレンが、再び先程と同種の笑みを浮かべて振り返った。

 

 

 


「あ、先に山本隊長に、騒がせてしまったお詫びに行ってきましょうね?」

「「・・・・・・はい」」


既に半分弟扱いのコクトーたちの教育には手を抜かないレンの言葉に、いやいやながら素直なお返事を返す二人。

 


「勿論私も一緒に謝りに行きますから」


「「・・・・お世話に、なります」」

 

それでも面倒見の良い姉貴分には反発心を抱けなくなっている二人は、大人しく頭を下げて苦笑を深めた。

 

 

 

 

 


かつて尸魂界最強と恐れられた四人を容易く掌で転がす彼女には、誰も勝てないんじゃないか、とは、コクトーと朱蓮を従えて、騒がせたお詫びを、と隊主室へと戻ってきたレンを、再び見送ったあと零された、山本総隊長の独り言。

 

 

 

 

 

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