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イタチとレンが再会した後、お茶飲みながら雑談
*『月色の御伽噺』での基本CP前提
「・・あ、そういやイタチの所属って二番隊?」
「ああ、」
「ふぅん、で、何席?」
「ああ、無席の平だ。」
「・・・・・は?」
再会後、取り合えず腰を落ち着けてお茶でも、とイタチ贔屓の甘味処で四方山話に興じていたレンがふと訊ねた。会ったのが二番隊の隊舎だから所属もそうなのだろうが、詳しくは聞いてないな、と思ったからだ。
が、何気なく返されたイタチの答えに耳を疑う。
「え、・・・・平、なの?、イタチ、が?」
「ああ、そうだが・・・おかしいか?」
「えぇぇぇぇ?・・・・えぇと、・・・二番隊って、そんなに、精鋭揃い、だと、か?」
「いや、専門職が集まる一部の隊は確かに隊色が偏りはするが、それほど13隊同士で比較した時の実力差にばらつきはない。」
「え、ならなんで?」
本気で困惑したように見上げたレンが可笑しかったのか、イタチが微かに口角を上げた。
「なんだ、俺が平隊員なのがおかしいか?」
「おかしいでしょう?!
・・・・正直言って、席官の人たちもそんなに強くないよね?」
再会時に集まっていた野次馬を避けるために半個室状になっている席を選んで、忍としての技術を使っての会話中だ。周囲に話が聞こえてしまう事はないと思うが、更に声を潜めてずばりと辛い評価を下すレン。確かにレンの実力から言えば妥当な感想だろうが、誰かに聞かれた日には反感どころではないな、と苦笑を深めるイタチ。だが異論はなくあっさりと肯定する。
「まあな。・・・・・・だが、面倒だろう。」
「はぇ?」
元からレンに隠そうとは思っていなかった為に端的に理由を告げた。その時のイタチの表情が、本気で嫌そうなものだったのを見てレンが珍しげに目を丸くして見上げる。
「折角、生前・・こちらでは現世か。
現世での柵から開放されたのに、死んだ後の世界でまで自ら重荷を背負う事はないだろう。」
表情筋を全く動かすことなく、雄弁に瞳の色だけで感情を伝えるイタチの顔を眺めて、レンはとうとう噴出した。
「ふっ、ふふふ、・・ははっ、そ、うなんだ?」
「ああ、死神にはなった方が無難だとおもったが・・・地位に見合った責任など面倒だからな。」
「ああ、そうか。こっちじゃ霊力があると虚を寄せちゃったりするって言ってたね。」
「そういう事だ。」
「ふぅん・・・ふふ、」
成る程、ならば納得できる。どうやら普通に流魂街に流されたらしいが、霊力を持つものには暮らしにくいと聞いた。それで仕方なく死神になる事にはしたが、資格を喪失しない程度の成績を保って今までやり過ごしてきた、ということだろう。まあ、己の力を隠して大衆に溶け込む術などは中忍以上の忍にとっては基本の技能だ。13歳にして暗部の分隊長まで勤めたイタチには造作もないことだろう。
「あはは、それにしても、そんなに正直に嫌そうな顔するなんて!」
ころころと楽しげに笑うレンに、イタチも緩やかな空気で茶を啜る。懐かしい感覚に、段々とイタチの口調も昔に戻る。二人の幼馴染にだけは、取り繕うことなく自然な言葉を吐き出せた、昔に。
・・全ての柵が清算された自由な立場での再会だからこそ許される事だ。それを素直に嬉しいと感じてレンとの会話を楽しんだ。
「(・・・アスカも喜ぶだろう。・・・・多少の悪戯はさせてもらうが)笑いすぎだ。」
「あ、ある意味イタチらしいよ!本当に変わってないんだ。」
「お互い様だ。」
「そうね。はは」
この世界で無事再会していたもう一人の幼馴染を思い出して、こっそりとほくそ笑んだ。
現世に生きていた時代にあった紆余曲折も既に決着をつけて久しいとはいえ、男二人では会話を弾ませるという事もなく時折修行や酒宴に興じるくらいの緩やかな付き合いを続けていた彼が、レンの事をした時の反応が見ものだと悪戯心を刺激されたのだ。最初の決別の前、イタチの日々の楽しみの一つだったアスカとレンのじゃれあいを、また眺められるのかと思うと柄にもなく心が浮き立った。
「(まあ、結局二人が進展する事は無かったが・・・)」
その原因が己の出奔であることを後に知った時の罪悪感も思い出してしまったが。
「・・・・変わらないな。お前は」
「そ?・・・成長してないって意味じゃないよね。」
やっと落ち着いた笑いを収めて冷めた茶を啜るレンに呟く。先ほど屋根の上から伺っていた金色の影を思い浮かべながらレンを見下ろすが今のところ表情に陰りがないことに安堵した。悪戯っぽくにやりと笑うレンの頭をゆっくり撫でて立ち上がった。
「ああ、・・・安心した、ということだ」
「めっずらしい、・・ありがと。私も、安心した、よ。イタチ。」
「そうか」
はにかむ様に少し乱れた黒髪を直しながら見上げるレンに、きちんと笑いかけてイタチは勘定を済ませる。自分の分を払おうとするレンを制して店を出た。遠慮がちにだが、こういう時にイタチが引かない事を知っているレンは素直に礼を言って共に帰路につく。
「ではな。また時間がある時にでも付き合ってくれ。」
「うん。ありがとう。またねイタチ。仕事頑張って。」
隊舎の前で、にこやかに手を振るレンに和やかな視線を向ける。。
再び感じた視線の源を視界の端に収めながらレンと約束を交わした。
仕事に戻る為に踵を返した先には、余人には判らないだろう程に気配を抑えながらも、イタチから見ればあからさま過ぎる程の敵意を込めた視線を向ける金色の少年が立っていた。未だ幼い外見ながら隠密機動隊の中でも精鋭に数えられている若手の注目株だと評判の死神だ。イタチは向けられる視線に気づきながら、平隊員らしく礼儀正しい一礼でもって通り過ぎる。数歩離れた瞬間に、独り言のように呟いて見せたのは、大事だと今でも胸を張れる幼馴染のためだった。
「・・・失ってからでは遅い。記憶よりも心が覚えているものもある。」
「何だと?、」
潜められていた筈の霊圧が瞬間的に膨れ上がり、イタチにのしかかった。鋭く振り返った金色が、青い瞳に明確な苛立ちを浮かべて睨みつける。本来ならばその場で気を失っても可笑しくない筈なのに、平然と立ち去ろうとするイタチ。それに違和感を感じる余裕もないのか乱暴に手を伸ばしかけた金色の少年の目の前でイタチは少しだけ振り返って冷たく吐き捨てた。
「だが、気づかないならそれまでだ。」
「お前、」
何事か問い返す言葉を無視して姿を眩ませた。行く先は二番隊の隊舎なのだから追いかける事も可能だろうが、これ以上応える積りはないという意思表示だ。このまま、あの少年が過去を思い出すことなく、記憶がないままでもレンへの想いを認める事がないならばそれまでだ。
その時は、今度こそ自分たちが傍にいれば良いと思って仕事に戻った。
「・・・・その為に、記憶を残したんだ。」
レンが、その身に宿す力を打ち明けてくれた時から、こうすると決めていた。
「お前が、お前達が、いつまでも笑っていれるならばそれで良い」
あの時、置き去りにしてしまった少女を、独りにしないために。
うちはも木の葉も無い今の自分にならば、それだけを選ぶ事が出来るのだから。
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暁と申します。
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