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eoe後使徒化+女体化したシンジ(=碇レンorシオン)が別世界にトリップした設定のクロスネタがメインの二次創作サイトです。碇レン最愛で最強。クロス先のキャラとのCPが基本。 現時点で単品で取り扱いがあるのは深淵と鰤とrkrn。深淵と鰤は主人公総受け、rkrnはきり丸中心です。
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*ちょっと思いついた小話inタタル渓谷

*普通の人間なら、こういう反応もあるんじゃないかなーとか考えたんで書いてみました。
*でも、ちょっとどころでなくルークが可哀そうな仕様になりました。

*途中グロテスクな表現含みます。
*人が(ぶっちゃけティアが)死にます。後味は良くないと思うので、苦手な人は絶対詠まないで下さい。

*苦情批判は受け取りません。聞こえません聞きません。何読んでも平気!という人だけご覧ください。
















美しい星空の下。
月光に照らされて淡く輝く花々が芳しい香りを放つ。
微かに聞こえるのは、水の音だろうか。
(彼は潮騒を知らない。彼にとっての始めてから、今日の朝まで、記憶にあるのは美しく荘厳で、同時に高い塀に囲われた狭い屋敷と庭だけだからだ。)


その全てが、今は、酷く遠かった。










「裏切り者のヴァンデスデルカ!覚悟!!」

「お前か!メシュティアリカ!」


ふらふらと揺れる視界に、激しく入れ替わる二つの栗色が移る。片方はただ一人、”記憶をなくしたお可哀そうなルーク様”をそのまま認めてくれたヴァン師匠だ。もう一つは、


「・・・・くっ、」


目の前で剣とナイフを打ち合っていた二人の動きがぶれる。聞こえたと同時に強制的な睡魔を連れ込んだ歌の後遺症だろうか。ルークが知る中でも一番強いと思っていたヴァンが苦しげに顔をしかめて膝をつく。ルークから見て、少々大げさなほどに後退したもう一人の栗色の持ち主である少女が、何かを叫びながらヴァンにナイフを振り上げた。その瞬間動いたのは殆ど無意識の反射だった。ただ、ヴァン師匠を傷つけられたくなくて、夢中で手に持っていた木刀を滑り込ませる。


「なんだよ、お前!」

「邪魔よ!」


それでも陽光を反射したナイフが怖くないわけがない。震えた腕を誤魔化すように夢中で木刀を振り切ろうとした。その、瞬間視界を覆ったまばゆい光。耳鳴りのような音が、どこか美しい旋律を帯びて響く。脳髄に叩き込まれるような声、が、なにか-----
















「う、・・・・ここ、・・お、れ、は---」


鈍く痛む頭を成るべく揺らさないように顔を上げた。無意識にいつも眠るルークを優しく守る手触りのよいシーツをつかもうとして、柔らかく湿った感触を握りしめる。鼻孔に届くのはメイドが運ぶ紅茶の香りでも、部屋に置かれた豪奢な花瓶の花の香りでもない。もっとひそやかな優しい香り。ほほを擽るこれは。



「な、なんだ、何処だよここ?!」



そこで記憶が途切れる直前までの出来事を思い出して勢いよく飛び起きる。



「ここは、」


「う、う~ん」


「ひっ、」


狼狽して上ずる声で自問してあたりを見回すと、記憶の中でヴァン師匠に斬りかかっていた女が視界に入る。小さくうめいた女の様子にあわてて口を塞いで息をひそめる。これほど間近に、一緒に寝ていたのかともうと今更冷や汗が流れた。がたがたと震えそうになる足を叱咤して、ルークは必死に傍らに転がっていた木刀を引き寄せる。その掌も汗に濡れて、力を込めていないと木刀をとり落としてしまいそうだった。



「(落ち着け、大丈夫だ。まだ、あいつは寝てる。今のうちに、遠くに--)っ、うわ!」

「な、なに?!」


じりじりと後ずさるルークが、石に蹴躓いて転ぶ。思わず声を上げてしまい、その為か女が飛び起きた。痛みに呻いたルークが慌てて木刀の有無を確認して、立とうとするが、それよりも女が口を開くほうが早かった。



「ここは・・・・あなた?」



何か女が次々としゃべっている。中にはルークへの詰問(質問かもしれないが、あの攻撃的な口調は詰問にしか取れない)もあったようだが、ルークにそれを聞き取って返事を返す余裕などなかった。だって、女はその手に未だナイフを握ったままなのだ。それがいつ再び振り上げられるかと考えるだけで全身がふるえる。月の光に反射する光がルークの視界を焼いて、目眩がした。頭痛が酷くなり、もがく様に立ち上がろうとするがうまくいかない。その様子をみて、やっとルークの異常に気付いたらしい女が、怪訝な表情で立ち上がってルークに歩み寄ろうとした。その片手に、ヴァン師匠を、ルークを斬ろうとしたナイフを持ったままで!



「貴方、ちょっと、大丈・・・」


「う、ううう、うわぁ---!」


ぐしゃり、と鈍い音が響いて、続き大きなものが倒れる音が。





「・・・え、・・・・・あ、・・あな、た、なにを--- 」

「は、はー、はー、・・・・・寄るな!
 お前!せ、師匠を殺そうと、した奴が、今度は、俺をこ、ころ、す、つもりかよ!」



荒い息遣いでルークが再び木刀を振り上げる。冷や汗にまみれた顔は焦点が合っておらず、一目で恐慌状態に陥っているとわかる。だが、木刀を振り下ろされた女の方はそんな事に気づく余裕などなかった。ただ、音にならない悲鳴を上げて身をよじる。激しい苦痛に混乱しながら、己をこんな目にあわせた青年を睨みあげて非難しようとした。



「動くな!動くなよ!!おまえ、なんか、この!」



女の言葉は、二度と音になることはなかったが。
ただ後には荒々しい呼吸と、何度も何度も堅いものを潰すような鈍い音と、びしゃびしゃと飛び散る水音。



そして、しばらくして辺りには静寂が戻る。




赤黒く濡れた木刀を引きずるように下げたルークが、虚ろな視線のまま歩きだす。
恐怖も焦燥も何もかもが飽和して、何一つ明瞭な思考が浮かばない。
ただ、自分を、ヴァン師匠を殺そうとした人間は消せたのだと、それだけに少しだけ安堵して。

両手を、顔を、足を、全身を濡らす、生臭い液体の事は、考えないことにした。

地面に放置される、ぐしゃぐしゃの、赤黒い物体も視界から無理やり外す。

美しい星空も、芳しい花の香りも、心地よい潮騒も、何もかもから耳を塞いで。


ただ、必死に足を動かした。


早く、家へ帰りたかった。

狭くて退屈でつまらない。

それでも暖かくて穏やかで平穏な。

ルークを閉じ込め続けた、護る続ける筈だった、あの、屋敷に。

ひたすらに、その場所だけを目指す。





はやく、うちへ、かえりたかった
























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